ネオアンチゲンDC療法のフィージビリティースタディーにご協力頂いた皆様へのお知らせ
この度は、ネオアンチゲンDC 療法のフィージビリティースタディーにご協力頂き誠にありがとうございました。現在、ご同意を頂いた説明文書にあるネオアンチゲンの解析を行っているところです。研究の遂行に伴い、ネオアンチゲンの蛋白の解析が必要になりました。この解析については、国立がん研究センター希少がん研究分野に委託して進めることとなり、ネオアンチゲンに関する試料やデータの一部を、国立がん研究センター希少がん研究分野でも使用することになりました。フィージビリティースタディーにご協力頂いた皆様には、この提供をご理解頂くようお願いします。この研究の名称、意義、目的、方法などは以下の通りです。また、この研究に試料・情報の利用・提供を希望されない場合、あるいは当初了承されても途中で希望されなくなった場合は、この文章の最後にある連絡先にメールでご連絡ください。希望されない時点で、速やかに該当する方の試料・情報の利用・提供を中止します。なお、既に研究結果の公表やデータセットから取り除くことが困難である場合は該当する方にその旨をお伝えしますが、その際は状況をどうぞご理解下さるようお願いします。
研究の名称:
プロテオゲノミクスによる循環腫瘍細胞のネオアンチゲン同定研究
当該研究の目的、意義:
本研究の目的はプロテオゲノミクス解析を用いて循環腫瘍細胞のネオアンチゲンを同定することです。
免疫チェックポイント阻害剤の実用化以来、がん治療における免疫療法に注目が集まっています。しかしながら膵臓がんや大腸がんの多くには効果がないことが知られており、効果があるとされているがんでも奏効率は5-30%と報告されています。がんに対する免疫療法をさらに発展させるために種々の開発医療が試みられていますが、その中で注目されているのがネオアンチゲンによる免疫療法があります。ネオアンチゲンはがん組織のみに発現している抗原で、免疫チェックポイント阻害剤との相乗効果があるとされています。
ネオアンチゲン同定のために腫瘍組織と正常組織の遺伝子全てを解析します。そして腫瘍組織のみに発現している遺伝子変異を同定し、その中からがん免疫に働くものを選択します。その解析には腫瘍組織が必要となりますが、今回、非侵襲的に腫瘍組織を採取する方法としてアフェレーシスで得られる循環癌細胞(circulating tumor cell : CTC)を用いました。採取されたCTC はネオアンチゲンを同定するのに十分な数でした。
本研究では、CTCからネオアンチゲンを同定することが目的ですが、研究の概略は以下のとおりです。CTCからDNA・RNAを抽出し、全エクソンシーケンス・RNAシーケンスを行います。また同時にタンパク質も抽出し、質量分析を行います。取得したゲノムデータを用いてネオアンチゲンを予測し、同時に患者さんのゲノムデータから国立がん研究センター希少がん研究分野で開発したプロテオゲノミクスソフトウェアを用いて、患者さん特異的アミノ酸配列データベースを作成します。このデータベースを用い、実際に発現しているCTC特異的なネオアンチゲンを同定します。CTC特異的なネオアンチゲンを同定する方法を検討することにより、がんの転移などを予防する免疫がん治療開発への示唆を与える知見が得られ、意義があると考えられます。
方法:
本研究では、ノバセラム株式会社で既に検索されている全エクソンシーケンスとネオアンチゲン候補同定に加え、新たに解析する質量分析を用います。全エクソンシーケンスは、治療で回収されたCTCと正常血球細胞で行い、CTCのみに認められる遺伝子変化を検出します。この変異の中からネオアンチゲン候補をin silico(コンピューターのソフトウエア)で選び出します。これらの解析とは別に、凍結保存しておいたCTCの質量分析を行います。
その後、CTCに特異的に発現しているネオアンチゲン同定を行うために、プロテオゲノミクス解析を行います。CTCの全エクソンシーケンスのデータを用いて、国立がん研究センター研究所希少がん研究分野で開発されたサンプル特異的プロテオームデータベース作成ソフトウェアを使用して、CTC特異的なアミノ酸配列データベースを作成します。そのアミノ酸配列データベースに既存データであるネオアンチゲンとして予測されたアミノ酸配列を加えます。DIA-NNという質量分析解析ソフトウェアを用いて、作成したアミノ酸配列に対する既存データである質量分析データのデータベース検索を行い、タンパク質レベルで発現しているネオアンチゲンを同定します。
研究機関名:
国立がん研究センター希少がん研究分野
国立がん研究センター希少がん研究分野への提供を希望されない場合やその他の問い合わせ、苦情等の窓口の連絡先:
ノバセラム社
山下直秀
email:n-yamashita@novacellum.com